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【常識で解く企業経営理論】令和4年度 第15問:渉外担当者

 渉外担当者(boundary personnel)に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和4年度 第15問

 組織セットモデルにおける渉外担当者(boundary personnel)の概念と機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 渉外担当者は、組織内外の接点に位置するゲートキーパーとしての役割を持つため、組織革新の誘導者となることもある。
イ 渉外担当者は、その組織の顔として組織を代表するものであるから、法的な代表権を有する必要がある。
ウ 渉外担当者は、他組織の脅威から当該組織を防衛するという境界維持機能を果たすため、外部環境とは距離を置き、組織内のメンバーと同質性を保つ必要がある。
エ 渉外担当者は、自らは不確実性を処理する権限を持たず、外部環境の状態や変化を組織内に正確に伝える役割を果たす必要がある。
オ 渉外担当者を通じた組織間関係は、市場関係を通じた調整ではなく、権限関係を通じた調整によって維持される。

正解

解説

ア ゲートキーパーは直訳すると「門番」です。組織内外の接点に位置するとのことですから、渉外担当者は、顧客要望や市場動向などに接する機会があります。このような外部環境に応じた内部組織の革新の誘導者になる可能性は十分あるといえます。よって正しい記述です。
 なお、「こともある。」という表現を使った記述は適切であることが多く、逆を考えると「組織革新の誘導者になることが絶対にない。」とは言えないので、正解に導けます。

イ 渉外担当者は、その組織の顔として組織を代表するものであることは正しいですが、代表権を持つのは代表取締役であって、代表取締役が渉外を担当する必要はないので、この記述は不適切です。

ウ 渉外担当者は、他組織の脅威から当該組織を防衛するという境界維持機能を果たすとともに、外部の利害関係者の要望や外部環境の変化を組織内に取り入れる役割を果たす必要があります。そのためには、外部環境とは距離を置くのではなく、むしろ密接に関わり、外部環境の状態や変化を組織内に正確に伝える役割を果たす必要があります。よってこの記述は不適切です。

エ 解説ウでも述べたとおり、後段は正しい記述です。しかし、不確実性を処理する権限を持たずに外部環境の状態や変化を組織内に正確に伝えるのが困難な場合も想定されます。よってこの記述は不適切です。

オ 市場関係など外部環境と直接的に接触している渉外担当者が内部組織と調整する際、通常は権限を通じた調整ではなく、市場関係を通じた調整になります。よってこの記述は不適切です。

用語の解説

【渉外担当者】
 営業が、自社の商品やサービスを販売して売り上げを伸ばすのが仕事であるのに対して、渉外は外部の関係者との連絡を取り、交渉を行うことが仕事です。
 渉外担当者は、顧客の要望を聞き、それに応える提案を行う役割を担っています。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

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