イチゴ栽培のポイントは、①定植は浅めに、②寒さに当てる、③追肥は2回です。
イチゴは、木にならないので野菜に分類されるバラ科の植物です。野菜としては珍しい多年草です。
約20年間小さな畑を借りて、試行錯誤しながら家庭菜園で野菜を育てています。休日を利用して植え付けから収穫まで、おいしいイチゴの育て方を紹介します。特にサラリーマン・自営の方など週末を利用した家庭菜園でのイチゴ栽培の参考にしていただければ幸いです。
イチゴ栽培のポイント
① 定植は、クラウンに土がかからない程度に浅めに植える。
② イチゴは冬の寒さに当てると、春になって実が付きやすくなる。
③ 追肥は、11月と2月上旬の2回。
イチゴの栽培スケジュール
イチゴ苗の品種選び(1年目)
1年目は、苗を購入します。2年目からは苗づくりをしてそれを育てます。
購入の際、路地用としてのイチゴ苗の品種は、「ダナー」や「宝交早生」がお勧めです。「とちおとめ」や「とよのか」はハウス用なので、路地栽培には向きません。
土つくりは2週間前までに
イチゴは肥料焼けしやすいので、2週間前には土つくりを済ませておきます。
幅70cm×長さ1.5m(約1㎡)に配合肥料200cc、鶏糞0.5kgを埋め戻します。弱酸性の土壌を好むので、苦土石灰は控えめに。
イチゴは連作を嫌うので2~3年あけます。
定植は浅めに
10月上旬~中旬頃、株間約40cm間隔に植え付けます。
クラウン(根と茎が接する部分)が土から出るように浅めに植えます。クラウンには生長点があるので、これが土に隠れると成長がおそくなるからです。
ランナー(根元から伸びたツルのような枝)が長く就いている方(親株側)の反対側に実ができるので、植える方向を揃えると、収穫しやすくなります。
追肥は11月と2月
追肥は、11月と2月中旬に施します。
イチゴは肥料ボケしやすいので、根元から10~20cm離れた場所に鶏糞か化成肥料を1㎡に一握り(約5㏄)程度施します。
11月の追肥は、根を張らせるために、2月は、新葉の育成のために施します。
イチゴの冬越し
イチゴの冬越しのポイントは、①寒さに当てる、②乾燥を防ぐ、③枯葉を取る、④花芽を切り取る、⑤ランナーを摘芯する、⑥追肥しないことです。
① 寒さに当てる
11月ごろから寒さが進むと苺は休眠に入ります。寒さに充分当てることが春に実を成らせるために重要ですので、11月から2月までは黒マルチをしないようにしましょう。
② 乾燥を防ぐ
乾燥には弱いので、藁や枯れた雑草をしいて乾燥を防ぎます。
③ 枯葉を取る
枯葉をそのままにしておくと害虫やうどん粉病の原因になるので、枯葉の根元からこまめに取り除きます。
赤くなった葉は左右に揺らしながら軽く引っ張るとすぐに取れます。取れる場合は取り除き、これで取れなければ、まだ光合成をしているので取り除かずそのままにしておきます。
④ 花芽を切り取る
1~2月に蕾ができ花が咲きますが、これは実にならず、養分を取られますので、切り取ります。
⑤ ランナーを摘芯する
2月になると、ランナーが伸びてきますが、春の新葉に栄養を回すため摘芯します。
⑥ 追肥しない
2月中旬の2回目の追肥まで、肥料は与えません。
マルチを3月上旬に
2回目の追肥を行った後、3月上旬にマルチングを行います。
穴なし黒マルチを上から被せ、イチゴ株部分をカッターで十字に切り、穴をあけてイチゴ株を引き出します。
黒マルチを敷くことによって、地温の上昇を図ります。また育った実に雨土のはね返りを防ぎ、雑草の抑制、乾燥を防きます。
新葉の成長
イチゴの新葉は3月中旬ごろから成長し始めます。
この時期も枯れた葉はこまめに取り除きます。枯葉を取り除くとそれが刺激をになって新たな葉が生えてきます。
また、伸びてきたランナーを切り取ります。
開花と人工授粉
通常は、ミツバチが自然に受粉してくれますが、ミツバチが少ない場合は人工授粉がお勧めです。
花が咲き始めたら、綿棒または耳かきの後ろのボンテンで人工授粉を施します。花の中心部を綿棒でやさしくくすぐります。耳なきのボンテンならさっと触れるだけで人工授粉ができます。
花は1株にたくさん咲きますが、大きな実をならせるために、1株に3~4個程度に摘花します。また実になりかけたとき、形の悪い実を切り取ります。
収穫
開花後30~40日で収穫できます。
収穫時に新しいランナーが伸びてきますが、養分を実に回すため、こまめに切り取りましょう。
苗づくり
収穫後、マルチをはずし、元気な親株を一つ残して苗をつくります。
親株から数本のランナーが伸び、子苗ができます。これをU字型の針金で地面にピン止めします。
子苗からさらにランナーが伸び孫苗、ひ孫苗ができ、これらは育苗ポットにU字型の針金で止めます。葉が生えた部分から根が出てきます。
子苗には親株の病気が残っているので、孫苗より先のものを来年用の苗にします。親株から外にできれば外にできるほど元気な苗(次の春には実をつけやすい苗)になります。
次の10月に定植する苗は、なるべく外側にできた苗を使いましょう。