MENU

【常識で解く企業経営理論】令和5年度 第5問:競争地位別戦略

競争地位別戦略に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和5年度 第5問

 下表では、ある市場のある年度におけるメーカー企業(企業A~D)の売上高(売上数量と売上金額)が示されている。「競争地位別戦略」に基づいた、各社のとる戦略に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 企業A企業B企業C企業D市場全体
売上数量  300 万個50 万個150 万個500 万個1,000 万個
売上金額300 億円75 億円105 億円600 億円1,080 億円

〔解答群〕

ア 企業Aは、数量シェアを増加させるために、積極的に価格を下げる。

イ 企業Bは、製品単価が最も高く市場拡大の利益が大きいため、市場全体の拡大を第一に目指す。

ウ 企業Cは、製造コストを上げて製品品質を高めながら、競合からの顧客獲得を狙う。

エ 企業Dは、最大のシェアを維持するためには、他社の行動に対して同質化を行うだけでなく、自社からのイノベーションも検討する。

正解

解説

 「競争地位別戦略」は、同一業界の競争的地位であり、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4類型に分類されます。

 リーダーは、業界ナンバーワン企業です。チャレンジャーはそれに続く企業、フォロワーは、業界ナンバーワンを目指さず、低価格戦略などによって、業界内で生き延びる行動を採る企業です。また、ニッチャーは特定の狭い領域でのオンリーワン的棄存在で、高価格戦略を採ることが多いです。

 表の企業(A~D)を分類すると、Dはリーダー、Aはチャレンジャー、Cはフォロワー、Bはニッチャーに当たりますが、これらの用語を知らなくても、以下のとおり、それぞれの売上高、数量から記述の適否を推察することができます。

ア 企業Aは、2番目の企業です。低価格戦略を採って、価格競争になればナンバーワン企業が有利になります。よってこの選択肢は不適切です。
 また、価格競争はどの分類の企業にとっても好ましくない戦略なので、「積極的に価格を下げる」との記述があれば、不適切だと判断すべきです。

イ 企業Bは、数量が少なく高単価なので、狭い領域で高収益を獲得する戦略を採るべきです。市場全体の拡大はリーダー企業が採るべき戦略であり、この選択肢は不適切だといえます。

ウ 企業Cは、低価格によって、他企業に追随している状況です。高価格製品を生産・販売することによって競合からの顧客獲得を狙うのではなく、現状維持戦略を採ることを原則とすべきです。よってこの選択肢は不適切です。

エ 企業Dは、売上数量・金額ともナンバーワン企業です。追随する企業の行動を同質化することにより、その差別化をかき消すことは有効な戦略です。それだけでなく、自らのイノベーションも検討し、市場全体の拡大を目指すことも重要です。よってこの選択肢は最も適切です。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次