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【常識で解く企業経営理論】令和5年度 第14問:組織形態

組織形態に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和5年度 第14問

 主要な組織形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 機能別組織では、機能別部門の管理をそれぞれの部門の長に任せることから、事業部制組織よりも次世代経営者の育成を行いやすい。

イ 機能別組織では、知識の蓄積が容易であるため、事業の内容や範囲にかかわらず経営者は意思決定を迅速に行いやすい。

ウ 事業部制組織では、各事業部が自律的に判断できるために、事業部間で重複する投資が生じやすい。

エ 事業部制組織では、各事業部が素早く有機的に連携できるため、機能別組織よりも事業横断的なシナジーを創出しやすい。

オ マトリックス組織は、複数の命令系統があることで組織運営が難しいため、不確実性が低い環境において採用されやすい。

正解

解説

 この設問では、組織の基本形態(機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)(用語の解説)について記述されています。
 これらの組織形態の違いを常識範囲内で判断すれば、選択肢の適否を判別することができます。

ア 機能別組織では、機能別部門の管理をそれぞれの部門の長に任せることは正しい記述です。しかし、この部門長は機能(営業、生産、人事など)部門の長であり、は各事業部に営業や生産などの機能が備わった事業部制組織(商品・サービス別、地域別など)の長の方が、次世代経営者の育成を行いやすいといえるので、この選択肢は不適切です。

イ 機能別組織では、部門内の知識の蓄積が容易であるといえます。しかし他の部門との調整がつきにくいことから、事業の内容や範囲にかかわらず経営者は意思決定を迅速に行いやすいとはいえません。よってこの選択肢は不適切です。

ウ 事業部制組織は、商品・サービス別などに意思決定権限が委任された分権型組織であり、各事業部が自律的に判断できます。投資についても各事業部が自律的に意思決定するため、重複が生じやすいといえます。よってこの記述は適切です。

エ 事業部制組織は、各々に意思決定権限が委任されており、連携がとりにくいと考えられます。よってこの選択肢は不適切です。

オ マトリックス組織は、縦方向と横方向に指揮命令系統があり、組織運営が難しいといえます。指示への混乱が生じやすい一方で、意思決定や緊急時対応を迅速に行えるなどのメリットもあり、不確実性の高い環境において採用されやすいといえます。よってこの選択肢は不適切です。

用語の解説

【機能別組織】
 機能別組織は、営業部や生産部、人事部、経理部など、同じ機能の部門の担当者による組織形態です。
 業務を集中させることにより重複なく効率がよく、専門性が高めやすいというメリットがあります、一方で、組織が拡大すると迅速な対応ができなくなるなどのデメリットがあります。

【事業部制組織】
 事業部制組織は、本社機能の下に事業ごとに分割した事業部を配置した組織形態です。
 各事業部に生産、営業、人事などの部門が配置されており、権限が委譲されているので、迅速な意思決定ができます。経営に視点をもつ次世代経営者の育成を行いやすいというメリットがあります。
 一方、各事業部で人材や設備などの費用負担が発生するなど、重複する投資が生じやすいなどのデメリットがあります。

【マトリックス組織】
 マトリックス組織は、機能別に上から下への縦方向と、事業別・エリア別などの水平方向の指揮命令系統からなる網の目のようになった形態です。機能別組織と事業部制組織の両方のメリットが得られるといわれています。
 複数部門の長からの情報伝達や指示があり、従業員は状況に応じて迅速・柔軟に稼働できるという不確実性の高い環境での対応がしやすいメリットと、指示への混乱が生じやすいデメリットがあります。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。
中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

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