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【常識で解く企業経営理論】令和3年度 第1問:多角化戦略

アンゾフの多角化戦略に関する 中小企業診断士試験・過去問での 設問について、常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和3年度 第1問

多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業における多角化の程度と収益性の関係は、その企業が保有する経営資源にかかわらず、外部環境によって決定される。

イ 情報的経営資源は、複数の事業で共有するとその価値が低下するため、多角化の推進力にはならない。

ウ 多角化の動機の 1 つとして、社内に存在する未利用資源の活用があげられる。

エ 多角化は規模の経済を利用するために行われる。

正解

解説

アンゾフの多角化戦略(後述します)など専門用語を知らなくても文面を読めば、常識で解くことができる問題です。

ア 「その企業が保有する経営資源にかかわらず」との記述が不適切です。

例えば、設立当初に機械リースを中心としていた「オリックス」はリース事業の与信審査のノウハウ(自社の経営資源)を生かして金融事業を展開しています。また富士フィルムは、画像処理技術(自社の経営資源)を活かして医療機器(胃カメラやCT)へ展開することにより収益性の向上を図っています。

イ ヒト・モノ・カネ・情報・時間の経営資源のうち、情報的経営資源は常識的に考えて、複数の事業で共有するとその価値が低下することはなく、多角化の推進力になるので不適切な記述です。

ウ 事業のリスク分散や事業同士のシナジー効果のほか、新規事業創造を行う効率的な手段として未利用資源の活用が考えられるので、この選択肢は適切といえます。

エ 規模の経済(後述)は、生産規模を増やせば経済性が上がると考えれば、量産で稼ぐことであると考えられます。そうであれば、多角化しなくても既存商品を既存市場で展開すればよいと考えられるので、不適切な選択肢と判断できます。

用語の解説

 アンゾフの多角化戦略には、自社の経営資源を活かした関連多角化と事業と関連が少ない非関連多角化があります。関連多角化では、自社の経営資源を新製品や新市場に展開し、多角化を進展させることで収益性の向上を図ります。
 また、アンゾフの成長マトリックスは以下の図のとおりです。

 規模の経済は、一定の生産設備の下で、生産量や生産規模を高めることで単位当たりのコストが逓減して市場シェアを獲得するものです。

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