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【常識で解く企業経営理論】令和3年度 第18問:集団思考

 集団思考(groupthink)に関する 中小企業診断士試験・過去問での 設問について、常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和3年度 第18問

 I.L.ジャニス(I. L. Janis)が提唱した集団思考(groupthink)の先行条件と兆候に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 誤った判断を下すことは許されないというような外部からの強い圧力に集団がさらされる場合、集団思考が起きやすい。

イ 機密情報を扱う場合のように集団のメンバーが限定されると、その集団は孤立しやすくなるため、現実に即さない議論が促進されやすい。

ウ 集団思考の兆候として、自分たちの集団の能力を過小評価し、集団における意思決定では極端なリスクを避けるようになる。

エ 集団思考の兆候として、集団外部の人物や集団に対して紋切り型の判断を行うようになる。

オ 集団思考の兆候として、集団内の意思決定を正当化するための理屈づけを行い、自分たちにとって都合の悪い情報を過小評価するようになる。

正解

解説

 集団から類推される言葉として、仲間意識などが思い浮かびます。集団内ではなかなか反対意見が言いづらいなど、集団内の意見に流されがちです。かつて流行した「赤信号みんなで通れば怖くない」といった言葉も集団での思考にありがちなフレーズです。

 そのような集団での意思決定や集団としての思考、集団の考え方を守ろうとする意識はどのようなものかを想像しながら、各選択肢を読めば、適否が判断できます。

ア 記述のような外部からの強い圧力にさらされると、集団の考え方を固持しようとするので、適切と判断できます。

イ メンバーに偏りがある集団は孤立しやすくなり、現実的ではない議論が促進されやすい。逆に考えれば、バランスよく多様な人材がいる集団なら孤立しにくく、現実的な議論が促進されやすいので、その反対だからイは適切です。

ウ 集団思考(後述します)では、むしろ自分たちの集団の能力を過大評価し、リスクを冒した意思決定をする傾向があると想像できます。よってウの記述は不適切です。

エ 集団思考は、集団を守ろうとする力が働くので、集団外部対しては、紋切り型の判断を行うようになると考えられます。よってエは適切だと判断できます。

オ 集団内での意思決定は正当化し、都合の悪い情報はできるだけ退けようとすることは正に集団思考の兆候といえます。

用語の解説

 ジャニスが提唱した集団思考とは、グループシンク集団浅慮とも言い、集団での意思決定が、個人が行う意思決定よりも非合理な結論になる傾向のことです。

 詳細は、以下をご覧ください。
   集団思考/集団浅慮(グループシンク)とは

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