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【常識で解く企業経営理論】令和2年度 第1問:競争優位

VRIOにおける競争優位に関する設問について、常識に基づいて解説します。

企業経営理論 令和2年度 第1問

 VRIOフレームワークにおける競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある経営資源が数多くの企業に保有されていても、外部環境の機会を適切にとらえ脅威を無力化するものであれば、この経営資源は一時的な競争優位の源泉となる。

イ 経営陣のチームワークや従業員同士の人間関係などの組織属性が経済価値を生み、希少性があり、かつ他の企業による模倣が困難な場合、この組織属性は企業の一時的な競争優位の源泉となる。

ウ 組織内のオペレーションを他の企業に比べて効率的に行うことができる技術やノウハウが、業界内で希少である場合、模倣困難性を伴わなくても企業の一時的な競争優位の源泉となる。

エ 他の企業が獲得できない経営資源が経済価値を持ち、業界内で希少である場合、その経営資源を活かす組織の方針や体制が整っていなくても、持続的な競争優位の源泉となる。

正解

解説

 各選択肢において、競争優位の源泉が持続的か一時的かを考えます。

ア 自社の経営資源が外部環境の機会を適切にとらえ脅威を無力化するものであっても、経営資源が数多くの企業に保有されているのであれば、他者も模倣可能であるから、そもそも競争優位の源泉とはなりません。よって不適切な選択肢です。

イ 経済価値を生み、希少性があり、模倣が困難と良いことずくめなので、持続的な競争優位の源泉となり、不適切です。

ウ 技術やノウハウが希少であるが、模倣困難性が伴わないのであるから、現時点では他社はこの経営資源を持たないとしても、いずれ模倣して獲得することが考えられるので、競争優位性は一時的だとわかります。よって適切な選択肢です。模倣困難性が伴うのであれば持続的だろうと裏返しで考えれば正解に導けます。

エ 組織の方針や体制が整っていないのだから、競争優位の源泉は一時的になり、不適切です。

用語の解説

 VRIO分析とは、企業の競争優位性確保等のため、企業の経営資源を「Value(経済的な価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の4つに分類し、4要素を分析するフレームワークのことです。

 自社の経営資源が4つすべてに当てはまる場合、その経営資源は持続的であり、競争優位性を有すると言えます。

【 Value(経済的な価値)】
 外部環境からの脅威に対してどれだけ耐えうる経営資源を有しているか。
【 Rareness(希少性)】
 業界内で希少性が高い経営資源を有しているか。
【 Imitability(模倣可能性) 】
 模倣が困難な希少資源を有することができるか。
【 Organization(組織) 】
 「経済価値」、「希少性」及び「模倣困難性」を有する経営資源を十分に活用できる組織体制が整っているか。

参考:VRIO分析

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