急がば回れ瀬田の唐橋
昔々、東国から京都に向かって、東海道あるいは中山道を通って長い旅路の終盤、琵琶湖を渡らなければなりませんでした。
草津宿から大津宿まで、矢橋(やばせ)の船で行くのが近道。
ところが、比叡山から吹き下ろしてくる強風でなかなか船が出ません。無理に出航して船が転覆することもありました。
琵琶湖を南に迂回して瀬田に架かる唐橋を歩いて渡れば、安全で確実に琵琶湖を越えることができます。
急ぐ時ほど遠回りしてでも安全で確実な道を選ぶべきという例えで、ほかにも「急(せ)いては事を仕損じる」と言い回しもあります。
室町時代の宗長(そうちょう)という人物が詠んだ
「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」という短歌に由来しているそうです。