黒豆の栽培のポイントは、①肥料控えめ、②苦土石灰散布、③脇芽を成長させることです。
約20年間小さな畑を借りて、試行錯誤しながら家庭菜園で野菜を育てています。週末に世話をして、種まきから収穫まで、おいしい黒豆の育て方を紹介します。特にサラリーマン・自営の方など週末を利用した家庭菜園での黒豆栽培の参考にしていただければ幸いです。
黒豆栽培のポイント
・肥料は控えめに
・黒豆は酸性度を嫌うので、苦土石灰を施す
・茎の最上部を摘心し、脇芽を成長させる
黒豆の栽培スケジュール
上の表をご覧ください。
種まきから、発芽、植え替え、枝豆として収穫、そして黒豆にして収穫した時期について記載しています。
これは数年間の実際の記録です。同じ年に時間差で種まきをしたこともあります。
早い時期では、4月下旬、遅くは7月下旬に種をまきました。
ところが、枝豆として収穫した時期を見ると、どれもあまり変わらないことが分かります。
黒豆としての収穫は、11月の初中旬は枝葉がまだ緑のまま収穫し、陰干しして黒豆にしています。11月下旬は枝葉が完全に枯れた状態で収穫していますので、やはり黒豆としての収穫も一定の時期といえます。
いつ種をまいても収穫時期はあまり変わらないのなら、遅い時期にまく方が効率的かもしれません。ただ、7月下旬が限界かなと思われます。さすがに9月の種まきは、実がなりませんでした。
種まきから定植、追肥・土寄せ及び収穫までのスケジュールをまとめると以下のようになります。
種まきはポットを区切って4粒まき
通常は、ポットに4~5粒の種をまき、芽が出たら、本葉3枚くらいのときに2本程度に間引きをします。
しかし、次のようにすれば、すべての芽を生かすことができます。
まず、広げたティッシュボックスなどの厚紙を上辺6cm、底辺9cm、高さ7cmの台形に切り取り、2枚でワンセットにします。
2枚の台形の紙を上からと下から半分切込みを入れて、合わせます。
それを写真のようにポットに入れて、ポットを4分割して、土を入れ、1粒ずつ種をまきます。
種をまいてから、1週間程度で発芽します。2つだけや4つとも発芽するポットなど様々です。
直まきする場合は、鳥に子葉を食べられないように防鳥ネットを張るか、半分に切ったペットボトルをかぶせます。30cm間隔で3~4粒ずつまいて、発芽したら1~2本に間引きます。
また、1~2粒ずつまいて、発芽しなかった場所にポットで育てた苗を植える方法もあります。
畝つくりと苗の植え付け
直まきや苗を植える2~3週間前に畑を耕し、畝をつくります。
幅70㎝×長さ1.5m(約1㎡)くらいの畝に牛糞堆肥などを4ℓ(約1.5㎏)程度施しますが、これまで別の野菜を育てた畑や雑草が茂っていた土地なら、何もやらなくても大丈夫です。施肥は控えめにしましょう。特に油粕は、窒素成分が多く、枝葉が大きくなりすぎてあまりお薦めできません。
また、黒豆は酸性土を嫌うので、苦土石灰100g程度をまいて土のPHを中和させます。
畝をつくってから2~3週間おいて、育てた黒豆の苗を、30cm間隔で根を切らないように丁寧に植え付けます。前述のようにポットを4分割して苗づくりをすると間引きをすることなく、すべての苗を植え付けることができます。
摘心と土寄せは大切
本葉が5~6枚になったら、茎の最上部を摘心し、脇芽を成長させます。
脇芽を成長させることによって、分枝にたくさんのさやを付かせます。
摘心のころ、土寄せをします。成長後の枝が倒れないようにするためと株元の発根を促すためです。
土寄せは、摘心をしてから半月ごとにに2~3回行います。
マルチを敷いている場合は、土寄せの必要はありません。
追肥は摘心時と半月ごとに2~3回
土寄せするたびに化成肥料を70㎝×1.5m(約1㎡)あたり一握り(約50㏄)程度追肥します。
マルチを敷いている場合、マルチの上からまいておけば、雨が降って、穴から化成肥料が入り込むので大丈夫です。追肥の時期は、摘心時と半月ごとに2~3回施します。
ただし、猛暑日に直接、葉にかけると、葉が変色してしまします。注意しましょう。
収穫は枝豆、黒豆の2段階で
10月、さやが十分にふくらんだ頃、枝豆として収穫します。
そのまま、枯れるまで置いておいて黒豆として収穫します。また前述のように11月頃ある程度固くなった時に刈り取って枝に実を着けたまま、陰干ししても黒豆になります。
来年の種を作る場合は、1枝を枯れるまで刈り取らず、畝の上で黒豆になるのを待ちます。実が青い間に刈り取って陰干しした黒豆は、来年の種としては、発芽率が悪くなるといわれています。ただ、実際に36粒ずつ試してみたところ、前者は29粒、後者は30粒発芽し、ほぼ同じ発芽率でした。