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【常識で解く企業経営理論】令和2年度 第23問:人事評価

人事評価に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、常識に基づいて解説します。

企業経営理論 令和2年度 第23問

 次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

  採用や選抜、あるいは報酬配分の中で、管理者や人事担当者は、組織に所属する人々を評価しなければならないが、実際の評価の作業では、人間の認知能力に由来したバイアスが度々発生する。

 例えば、評価対象の実態について体系的に把握できる自信がない評価者であるほど、人を甘めに評価するという「 A 」が見られることがある。また、自分の得 意な分野を評価することになった評価者であるほど、「 B 」に支配され、その分野について辛めの評価をすることがある。

 さらには、実際に評価すべき項目は極めて多岐にわたるため、多くの評価者が、 先に全体の評価結果を決めて、それに沿うように個別の項目の評価を行うことがある。このような評価バイアスを「 C 」と呼ぶ。

〔解答群〕

ア A:寛大化傾向  B:厳格化傾向  C:中心化傾向

イ A:寛大化傾向  B:対比誤差   C:逆算化傾向

ウ A:寛大化傾向  B:対比誤差   C:中心化傾向

エ A:論理的誤差  B:厳格化傾向  C:中心化傾向

オ A:論理的誤差  B:対比誤差   C:逆算化傾向

正解

解説

 A は、甘めの評価だから、寛大になる傾向があるのは明白だから、寛大化傾向です。

 B は、辛めの評価だけを見ると厳格化傾向のようにも思えますが、「自分の得意な分野を評価するときに辛めに評価」するのだから、自分ならこうするのに部下はできていないなどと、「自分と比較」することから、対比誤差だと想像がつきます。

 C は、「先に全体の評価」を決めて、個別項目の評価を「それに沿うように」行うのだから、「全体評価から逆算して評価」するということで、逆算化傾向だと想定できます。全体評価の中央値に評価が偏るなどという表現がないので、中心化傾向ではないと判断できます。

用語の解説

人事評価の心理的誤差傾向(バイアス)として、次のような傾向がみられます。

寛大化傾向は、評価対象者全員に対して評価結果が甘くなる傾向を指します。その原因として、評価者が被評価者の業務内容に精通していない、評価基準が不明確であるなどがあげられます。

厳格化傾向は、評価対象者全員に対して評価結果が厳しくなる傾向を指します。 その原因として、評価者が被評価者の業務内容を熟知しており、評価基準を勝手に高く設定し、自分を基準に部下を評価してしまうなどがあげられます。

対比誤差は、評価者自身の能力や価値観を基準とし、自分の得意分野は厳しく、不得意分野は甘く評価する傾向を指します。

中心化傾向は、極端を避け、当たり障りのなく評価する結果、被評価者への評価結果を標準(中央)に集めやすい傾向を指します。その原因として、部下の実績や能力の把握不足、評価に自信がないなどがあげられます。

逆算化傾向は、被評価者の昇給や昇格、賞与などの待遇のために最終的な評価結果を最初に決めて、逆算してそれに見合う個別評価を調整する傾向を指します。

ハロー効果は、評価者が、被評価者の目立つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる傾向を指します。

論理的誤差は、評価者が評価項目の内容を充分把握しないで評価を行うために、論理的に考え、独立している評価項目であるにもかかわらず似たような事柄を関連付けて考え、同一もしくは類似評価してしまう傾向を指します。

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