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【常識で解く企業経営理論】令和3年度 第17問:組織コミットメント

組織コミットメントに関する 中小企業診断士試験・過去問での 設問について、常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和3年度 第17問

 個人が特定の組織との間に形成する継続的な関係性を説明する概念として、組織コミットメントがある。組織コミットメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 組織の価値観や目標と個人のそれらが一致する場合、個人にとっては組織内で新たに成長できる余地が限られるため、個人の組織コミットメントは弱くなる。

イ 長期にわたって 1 つの組織に参加し続けることが望ましいという社会的な規範は、個人の組織コミットメントを強めるように作用する。

ウ 特定の専門的な職務に対する思い入れの強さは、個人の組織コミットメントを強めるように作用する。

エ 特定の組織内では高く評価されるものの、労働市場ではほとんど評価されない技能を習得することは、個人の組織コミットメントを弱めるように作用する。

オ 年功序列的な給与体系の下では、短期間で転職を繰り返すことが個人にとって経済的に不利に作用するため、個人の組織コミットメントは弱くなる。

正解

解説

 コミットメント(commitment)を直訳すると、委託や公約、約束などです。個人の組織コミットメントとは、直訳どおり個人の組織への公約や約束だとすると、個人の組織への肯定的なイメージ(愛着や思い入れなど)が想像できます。

 このイメージからそれぞれの選択肢の適否は以下のように判断できます。

ア 組織の価値観や目標と個人のそれらが一致するのであれば、組織に対する思い入れなどが強くなるので、個人の組織コミットメントは弱くなるというのは不適切です。

イ 記述のように参加し続けることが望ましいのであれば、組織への愛着は強くなると考えられるので、この選択肢の記述は適切と判断できます。

ウ 特定の専門的な「職務」に対する思い入れが強ければ、組織より職務への思い入れが強いのであるから個人の組織へのコミットメントは強めるように作用するというのは不適切です。

エ 労働市場ではほとんど評価されない技能であっても特定の組織内では高く評価されるのであれば、組織への思い入れは強まるので、個人の組織コミットメントを弱めるように作用するというのは不適切です。

オ 年功序列的な給与体系の下では、転職を繰り返したくなくなるので、組織への思い入れは強くなるので、不適切と考えられます。

用語の解説

 組織コミットメントとは、個人の組織への愛着や思い入れ、帰属意識などを指し、「情緒的コミットメント」と「功利的コミットメント」に分類されます。

 情緒的コミットメントは、「自社製品に誇りを持っている」、「同僚との人間関係が良く職場の雰囲気が気に入っている」など気持ちから生じる組織コミットメントを言います。

 功利的コミットメントは、報酬が良く転職してもより高い報酬が得られないなど、職場から離れられないといった考えから生じる組織コミットメントを言います。

 組織コミットメントについて、詳細な説明は以下の記事を参照してください。

「組織コミットメントとは?~従業員のエンゲージメントを語る前に」

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