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【常識で解く企業経営理論】令和3年度 第20問:組織のパワー

 組織のパワーに関する 中小企業診断士試験・過去問での 設問について、常識に基づいて解説します。

企業経営理論 令和3年度 第20問

 組織における部門には、それぞれの目標や利害が存在するが、組織内で大きなパワーを有する部門は他部門よりも多くの予算を獲得したり、自部門にとって望ましくない他部門からの要求を排除することができる。このような部門の持つパワーの源泉に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 組織が外部環境の重大な不確実性にさらされる場合、その不確実性に有効に対処できる部門は、他部門よりも大きなパワーを持つ。

イ 組織全体の目標を達成するために解決することが不可欠な組織内外の課題に対処する部門は、他部門よりも大きなパワーを持つ。

ウ 組織の最終的なアウトプットに対して大きな影響を及ぼす部門は、他部門よりも大きなパワーを持つ。

エ 部門Aが必要とする経営資源について、その資源を部門B以外から調達できない場合、部門Aは部門Bに対して大きなパワーを持つ。

正解

解説

 問題の前段で「組織内で大きなパワーを有する部門」についての定義が記載されています。自部門にとって望ましくない他部門からの要求を排除することができるか、言い換えれば、自らの望む方向に向かせるかを考えながら、各選択肢を読み進めるとその適否が判断できます。

ア 外部環境は自社を取り巻く環境(機会や脅威)で自社ではコントロールできない社外からのものです。この外部環境が重大な不確実性にさらされていて、その不確実性に対処できるのであれば、その部門は、対処するために、自部門にとって望ましくない他部門からの要求を排除することができます。よって他に比べてパワーを持ちます。

イ 組織内外の課題に対処する部門は、課題対処のため他部門を自らの望む方向に向かせることができ、他部門より大きなパワーを持ちます。

ウ 組織の最終的なアウトプットである組織の意思決定に影響を行使できるのであるから、その意思決定のために他部門を自らの望む方向に向かせることができ、他部門より大きなパワーを持ちます。

エ 必要な経営資源を部門B以外から調達できないなら、部門Aにとって望ましくない部門Bからの要求を排除することが困難なため、部門Aは部門Bに対して大きなパワーを持つという記述は不適切だと判断できます。

因みに「組織管理―経済産業省(サービス産業人材育成事業テキスト)」のP58によると、パワー(力)とは、他者の行動に影響を与え、自らの望む方向に向かせる能力のことと定義されており、パワーを背景とする政治力とは、意思決定に影響力を行使して、利益を誘導することであると解説されています。

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