組織のライフサイクル仮説に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。
企業経営理論 令和4年度 第18問
組織のライフサイクル仮説によると、組織は発展段階(起業者段階、共同体段階、公式化段階、精巧化段階)に応じた組織構造、リーダーシップ様式、統制システムをとる。また、組織の発展段階に応じて、組織で支配的となる有効性(組織がその目標を達成した程度)の指標は変化すると考えられる。
組織の発展段階の名称と、各段階で支配的な組織の有効性指標に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【組織の発展段階】
a 起業者段階
b 共同体段階
c 公式化段階
d 精巧化段階
【組織の有効性指標に関する記述】
① この段階では、人的資源の開発が有効性指標として重要となり、経営者のリーダーシップの下で職場集団の凝集性とモラールを高めることが追求される。
② この段階では、資源獲得と成長が組織の有効性指標として特に重視され、顧客や金融機関などの利害関係者と良好な関係を築くことに中心的な価値が置かれる。
③ この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性が支配的な有効性指標となり、情報管理システムや業務上の規則と手続きが組織内で広く整備される。
④ この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性と人的資源の開発を重視しつつ、新たな環境適応のための資源獲得と成長が追求される。
〔解答群〕
ア a-① b-② c-③ d-④
イ a-① b-④ c-② d-③
ウ a-① b-④ c-③ d-②
エ a-② b-① c-③ d-④
オ a-② b-① c-④ d-③
正解
エ
解説
① 「凝集」(用語の解説参照)という言葉を集団に凝る(熱中して打ち込むなど)ととらえると、「職場集団の凝集性」は共同化しようという帰属意識が高まることと解釈できます。よって、この記述はbの共同体段階と想定できます。
② 「金融機関との良好な関係を築く」ことから資金調達が思い浮かびます。資金調達が必要なのは、aの起業者段階と考えられます。
③ 集団の「規則と手続きが整備」されるのだから、組織の公式化を意味します。よってこの記述は、c公式化段階に結びつきます。
④ 組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性と人的資源の開発を重視しつつ、新たな環境適応のための資源獲得と成長が追求されることが精巧化段階だと、文面で想定することは困難ですが、①、②、③がb、a、cに当てはまるため、④はdと判別します。
用語の解説
【集団凝集性】
リーダーシップの求心力などにより、集団メンバーが集団に留まらせる動機の度合いのことです。
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