MENU

【常識で解く企業経営理論】令和4年度 第19問:組織スラック

組織のライフサイクル仮説に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和4年度 第19問

 組織均衡を維持するのに必要な資源と、実際にその組織が保有している資源の差を組織スラック(organizational slack)という。組織スラックに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 好況時には、組織スラックを増やすことを通じて、組織参加者の満足水準が上昇することを抑制できる。
イ 組織スラックが存在しない場合、革新案を探索する際にリスク志向的になる。
ウ 組織スラックが存在すると、部門間のコンフリクトが激化する。
エ 組織スラックは、組織革新を遂行するための資源とはならないが、環境変化の影響を吸収するバッファーとしての役割を持つ。
オ 不況期には、組織スラックを組織参加者に放出することによって、短期的に参加者の満足水準を低下させることができる。

正解

解説

ア 設問冒頭の「組織均衡を維持するのに必要な資源と、実際にその組織が保有している資源の差を組織スラック(organizational slack)という。」との記述から、実際の資源の必要資源に対する余り(余剰資源)だと考えます。
 例えば、不況期に十分な給与や配当が得られないことからの不満が生じることに備えて、好況時には、従業員給与や配当を抑えて余剰資源である内部留保を増やすことによって、組織スラックを増やすことが想定されます。その際、従業員や株主の過度な満足水準の上昇を抑制できることになります。よってこの記述は適切です。
イ 「リスク志向的になる」をチャレンジ試行的になると読み替えると、革新案を探索する際にチャレンジを試みるには、余剰資源が存在する方が試行しやすいと考えられます。よってリスク志向的になるという記述は不適切です。
ウ 部門間のコンフリクトとは、部門間に生じる衝突や争いと考えると、余剰資源が存在しない方が、わずかな資源をめぐって部門間の衝突が激化し、部門間調整が必要になるので、「組織スラックが存在すると」という記述は不適切です。
エ イの解説のとおり、組織スラックである余剰資源は組織革新を遂行するための資源となるので、この選択肢の記述は不適切です。
オ アの解説のとおり、不況期の組織参加者の満足水準の低下を抑えるため、好況期に蓄えた組織スタックを参加者に放出することを想定すると、この記述は不適切です。

用語の解説

【組織スラック(organizational slack)】
 組織スラックとは、設問冒頭の記述のとおり、組織均衡を維持するのに必要な資源と、実際にその組織が保有している資源の差のことで、内部留保などの余剰資金や余剰人員、余剰在庫など余剰資源のことをいいます。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次