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【常識で解く企業経営理論】令和4年度 第21問:職務再設計、勤務形態

 職務再設計および勤務形態に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和4年度 第21問

仕事へのモチベーションを高めるための職務再設計の方法と、従業員の柔軟な働き方を可能にする勤務形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 顧客と直接的な関係性を築けるように従業員の職務を設計することは、従業員が自らの職務の実績を自律的に評価できる機会につながるため、仕事へのモチベーションを高めるのに有効である。
イ 職務拡大とは、仕事の流れに従って従業員が担当するタスクの数を量的に増やすことではなく、より大きな責任と権限を従業員に与えることで、仕事へのモチベーションを高めることを指す。
ウ ジョブシェアリングでは、個人的な事情に応じて従業員が勤務時間を自由に設定できる権利を保証するため、フルタイムでの勤務が困難な子育て中の従業員の雇用機会を広げることができる。
エ ジョブローテーションとは、職務の垂直的な拡大を通じた専門職人材の育成を目的として、より高度な技能と責任が求められる職務に従業員を配置転換することである。
オ フレックスタイム制の欠点とは、他部門との関わりが限定され自部門内で完結する職務に従事する従業員に適用することができない点である。

正解

解説

ア 顧客と直接的な関係性を築けるように従業員の職務を設計すると、顧客からの満足度等のフィードバックを直接実感でき、仕事へのモチベーションを高めることができるので、この選択肢は適切です。

イ 職務拡大と職務充実の意味を文字で判断すると、職務の拡大は量、充実は質と考えられます。職務拡大を単純に解釈すれば、職務を拡大するのだから、タスクの数を量的に増やすことになるので、「量的に増やすのではなく」という記述は間違いと想定されます。因みに「より大きな責任と権限を従業員に与えることで、仕事へのモチベーションを高めることを指す」のは、職務充実です(用語の解説参照)。

ウ ジョブシェアリング(用語の解説参照)は、仕事をシェアするのだから、フルタイム1人分の仕事を2以上で分けることと想定されます。例えば1週間を月水金と火木土に2人で分けると決めたとすれば、「個人的な事情に応じて従業員が勤務時間を自由に設定できる権利を保証する」わけではありません。よってこの選択肢は不適切です。ただ、後段の「フルタイムでの勤務が困難な子育て中の従業員の雇用機会を広げることができる」のは正しい記述です。

エ ローテーションは交替したり、循環したりすることなので、ジョブローテーション(用語の解説参照)が仕事を交替、循環すると考えると、ジェネラリストの育成が目的であり、スペシャリストとしての「専門職人材の育成を目的」としているものではないので明らかに不適切な記述といえます。また、ジョブローテーションは営業や企画、製造など職務を水平的に拡大することなので、「職務の垂直的な拡大を通じた」という記述も不適切です。さらに「より高度な技能と責任が求められる職務に従業員を配置転換する」とも限りません。

オ フレックスタイム制(用語の解説参照)は、一定のルールに基づいて、従業員が自由に出社、退社時間を自分で自由に決められることで、「他部門との関わりが限定され」たり、「自部門内で完結する職務に従事する従業員に適用することができない」ことはないので、この記述は不適切です。

用語の解説

【職務拡大と職務充実】
 どちらも従業員の仕事へのモチベーションを高めるための人材育成に関する概念です。
 職務拡大とは、担当の仕事の種類や量を増やすことです。一方職務充実は、担当の仕事の質的に高め、より大きな責任と権限を従業員に与えることです。

【ジョブシェアリング】
 フルタイム1人が行っていた仕事を複数人で分担する働き方です。処遇や評価も担当の複数人がセット受けることになります。

【ジョブローテーション】
 人事計画に基づいて行われる戦略的な人事異動のことです。従業員に様々な経験をさせることによる人材育成を目的としています。

【フレックスタイム制】
 一定の期間(精算機関)において、あらかじめ決められた総労働時間の範囲内で始業・終業時間を従業員が自由に決められる制度です。いつでも出社・退社してよい「フレキシブルタイム」と必ず勤務しなければならない時間帯「コアタイム」を設定したうえで運用します。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

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