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【常識で解く企業経営理論】令和4年度 第28問:ブランド

 ブランドに関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和4年度 第28問

ブランドに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼び、流通側から見た場合にはさまざまなメリットがある。しかしメーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀き損そんするリスクがある一方で、メリットは特にない。
イ 自社ブランドの競合ブランドからの差異化を目指す相対的側面と、消費者から見て自社ブランドに他にはないユニークな価値を持たせる絶対的側面とは、どちらもブランドのポジショニング戦略に含まれる。
ウ 製品カテゴリーなどを提示し、当該カテゴリー内で思いつくすべてのブランドを白紙に書き出してもらう調査により、ブランドの純粋想起について調べることができる。これに対して、ブランド名を列挙し、その中で知っているものをすべて選択し回答してもらう調査は精度が低いため、得られる結果の信頼性も低い。
エ ブランドとは、消費者の記憶に明確に保持されている最終製品の名称を指す。製品の中に使用されている部品や素材などにも名称が付けられていることがあるが、これらはブランドではない。
オ ブランドは、ナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)に分けることができる。PB は大手小売業などの流通業者が開発し製造・販売するもので大手メーカーは関わらないため、PB の売り上げが増えるほど NB を展開する大手メーカーの売り上げは減少する。

正解

解説

ア 記述にある「ブランド拡張」(以下の用語季節を参照)の定義が正しいと仮定して、メーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀き損そんするリスクがあることは正しいといえます。しかし、既存ブランドのブランド力を活用し売り上げ増大を図ることが可能であり、「ブランド拡張」はメーカー側からもメリットはあるので、この記述は不適切といえます。

イ ポジションが位置や地位を表す言葉なので、ブランドのポジショニング戦略は、差別化を図って自社ブランドの地位を獲得すると想定されます。それには競合ブランドからの差異化を目指すこと(相対的側面)のほかに独自の特徴・価値を持たせること(絶対的側面)が考えられるので、この記述は適切といえます。

ウ 具体的に選択肢を提示して、その中から回答してもらう方法は、ブランド名を思い起こす手助けとなるため、精度が低いとはいえないので、この記述は不適切です。

エ 例えば、インテルは最終製品としてのパソコンではなく、そこに使用されている部品である半導体を製造しています。intel insideとして世界的に有名で、消費者が消費者が直接購入するものではありませんが、インテルが入っているPCは高品質で高性能であるというイメージでブランドとして広がっています。よって部品や素材はブランドではないとする記述は不適切です。

オ PB とNB が競合すれば、PB の売り上げが増えれば、 NBの売り上げは減少しますが、PBは実際のところ、大手メーカーのOEM生産であることが多いので、PB の売り上げが増えるほど大手メーカーの売り上げは減少するとは限らないので、この記述は不適切です。

用語の解説

【ブランド拡張】
 選択肢の記述のとおり「既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売すること」です。

【純粋想起、助成想起】
 選択肢などヒントを与えず、自由回答方式で思いつくすべてのブランドを白紙に書き出してもらう調査方法を純粋想起といいます。一方、選択肢を提示し、選んでもらう調査方法を助成想起といいます。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

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