リーダーシップの条件適合理論に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。
企業経営理論 令和5年度 第18問
リーダーシップの条件適合理論の1つであるパス・ゴール理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 自分の行動とその結果を自分自身が統制していると考える部下は、リーダーから意思決定に関して相談されたり提案を求められたりすることに強い満足を得る傾向がある。
イ タスクの内容と達成方法を具体的に指示するリーダーシップは、部下のタスクが曖昧な場合よりも高度に構造化されている場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
ウ タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下ほど、タスクの内容や達成方法を具体的に指示するリーダーシップに対する満足度が高くなる。
エ 部下の感情面への配慮を示すリーダーシップは、タスクを遂行すること自体から得られる部下の満足度が低い場合よりも高い場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
オ リーダーは、自らの性格的な特性に応じて、指示型、支援型、参加型、達成志向型のいずれかの行動スタイルをとることで部下の満足度を高められる。
正解
ア
解説
リーダーシップの条件適合理論の1つであるパス・ゴール理論(用語の解説を参照)の内容を知らなくても以下のとおり、常識で適否を判断することができます。
ア 自分自身の行動結果をコントロールできる部下は、通常、上司からの相談などに戸惑いを感じることなく、満足度を高めるものです(用語の解説「③参加型」を参照)。よってこの記述は適切です。
イ 部下のタスクが曖昧な場合の方が、リーダーの具体的に指示が必要です(用語の解説「①指示型」を参照)。よってこの記述は不適切です。
ウ タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下にとって、リーダーからの具体的に指示は大きなお世話です。このようなリーダーシップに対する満足度は低くなります。
エ タスクを遂行すること自体から得られる部下の満足度が低い場合こそ、部下の感情面への配慮が必要になります。
オ 部下の特徴に応じて行動スタイルを決めるべきであり、リーダー自らの性格的な特性に応じて設定することは不適切です。
用語の解説
【パス・ゴール理論】
パス・ゴール理論とは、組織の構成員が目標達成のために、「リーダーはどのような道筋(パス)を通るよう指示するのがよいのか」という考えに基づき、R.ハウスによって提唱された理論です。
パス・ゴール理論では、リーダーシップが以下の4つに分類されています。
- 指示型リーダーシップ
組織の構成員に対してタスクを具体的に指示し、仕事のスケジュールを設定します。 - 支援型リーダーシップ
構成員との信頼関係の構築を強調し、自発的な発想やその承認を重要視します。 - 参加型リーダーシップ
決定を下す前に構成員との協議を行い、意思決定に関する提案を受け入れ、活用します。 - 達成志向型リーダーシップ
高い目標を設定し、構成員にその達成を追求することを求めます。
他の設問
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中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問