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【常識で解く企業経営理論】令和5年度 第7問:M&A、戦略的提携

M&A、戦略的提携に関する中小企業診断士試験・過去問での設問について、専門用語(用語の解説を参照)を知らなくても常識に基づいて解説します。

目次

企業経営理論 令和5年度 第7問

 M&Aや戦略的提携に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 異業種間のM&Aでは、自社の必要としない資源までも獲得することがあり非効率が生じやすいが、規模の経済のメリットを享受できる。

イ 戦略的提携では、パートナーが裏切る可能性があり、それを抑制するために事前にデューデリジェンスを行うことが必須である

ウ 戦略的提携では、パートナーに開示する情報を選択することを通じて、パートナーの学習速度に影響を与えることができる。

エ 同業種間のM&Aは、範囲の経済と習熟効果の実現というメリットがあることから、異業種間のM&Aに比べて統合コストは低い。

オ 買収者以外の株主にオプションを与えるなどして買収コストを引き下げようとすることを、ポイズンピルと呼ぶ。

正解

解説

ア 規模の経済(用語の解説参照)は、文字通り事業拡大すれば経済効率が高まるということですが、特定の事業において効果が及ぶものなので、「異業種間の」という記述が不適切です。

イ デューデリジェンスは、M&Aなどの際に、相手先の企業の資産価値等を調査することです。その調査が提携先の裏切りを抑制できるわけではなく、そのために必須とは言えません。よってこの選択肢は不適切です。

ウ 戦略的提携(用語の解説参照)においては、相互に自社の経営的資源をある程度開示します。その情報をどのくらい開示するかによって、パートナーの学習速度に影響することができます。よって最も適切な記述です。

エ 同業種間においては、「習熟効果」(用語の解説参照)の実現というメリットがあるという記述は適切です。一方で「範囲の経済」(用語の解説参照)は、異業種間のM&Aの方が、グループ内での複数事業が相乗効果を生み出すので、この選択肢は不適切です。

オ M&Aにおいて、買収者以外の株主にオプションを与えるということは、買収されにくくすることで、ポイズンピル(用語の解説参照)は、直訳の“毒薬”を飲ませると推測すれば、むしろ買収コストを引き上げて買収を阻止しようとするので、「買収コストを引き下げて」という記述が不適切です。

用語の解説

【戦略的提携】
 複数の企業が、対等の立場にたって、共同で事業を推進することです。
 自社事業成長のための「内部的成長戦略」と吸収合併する「M&A戦略」に分類されます。

【規模の経済】 特定の事業において、事業規模を大きくすれば経済効率が高まることです。

【習熟効果】
 事業において累積の経験量が増えることにより、作業効率等が上がるため単位当たりのコストが下がることです。

【範囲の経済】
 同一企業が、複数事業を行うことで、相乗効果等により、別々の企業が行うよりコスト上有利になることです。

【ポイズンピル】
 買収者のみが行使できないオプション取引をあらかじめ既存株主に付与しておき、敵対買収の際、オプション行使により買収者の持株比率を低下させ、買収コストを増加させるなどにより行う、買収防衛策のことです。

他の設問

他の設問は以下をご覧ください。

中小企業診断士試験 常識で解く企業経営理論 過去問

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