ミニトマト栽培のポイントは、①水やり抑えめ、②連絡厳禁、③芽かきです。
約20年間小さな畑を借りて、試行錯誤しながら家庭菜園で野菜を育てています。休日だけ世話をして、種まきから収穫まで、おいしいミニトマトの育て方を紹介します。特にサラリーマンなど週末を利用した家庭菜園でのミニトマト栽培の参考にしていただければ幸いです。
栽培のポイント
① 水やり抑えめ
水をやりすぎると、根腐れやうどんこ病を起こす原因になります。ミニトマトは乾燥気味に育てた方がみずみずしく美味しい実になります。
② 連作厳禁
ミニトマトは連作障害を起こしやすく、毎年同じ場所で作り続けると、葉が青いまま急に萎れたり、根にコブができて働きが悪くなってしまうことがあります。3~4年は開けて栽培しましょう。
③ 芽かき
栄養分を集中させ収穫量を増やすため、脇芽をしっかり取って1本または2本立てにします。芽かきはハサミを使うとウイルスを伝染させることがあるので、手で摘み取るのが無難です。
ミニトマトの栽培スケジュール
ポットにミニトマトの種をまきます
3月中旬から4月初旬、ポットにミニトマトの種を4~5粒まきます。薄く土をかけて水を与えます。良い苗を作るため多い目に種をまきましょう。
3週間くらいで発芽します。発芽するまでは2日おき、発芽後は毎日水をやります。
元気そうな芽を残し、間引いて本葉が2~3枚の時に1本立ちにします。元気な苗を数本残し、丁寧に根を切らないようにして、それぞれポットに1本ずつ分けても育ちます。
畝をつくります
ミニトマトは連作を嫌うので、これまで3~4年の間トマト類を植えていない場所を選び、定植の1週間前までに土つくりをすませておきます。
幅70cm×長さ1.5m(約1㎡)の畝を30cmくらい深く掘って鶏糞堆肥5ℓ(約2㎏)、化成肥料250㏄を埋め戻して、苦土石灰200㏄をすきこみます。高さ15cmくらいの畝をつくり、平らにならします。
畝に充分水をまいたあと、黒マルチを敷きます。雨のはね返りや土の乾燥を防ぐためです。
ちなみに鶏糞の成分比率は以下のとおり実を成らせる燐酸成分が多く、油粕などに比べ早く効きます。また、土にまくと少し臭うので、地中に埋め戻すことをお勧めします。
・窒素(葉を育てる)・・・・・・・約2%
・燐酸(実を成らせる)・・・・・・約5%
・加里(根を育てる)・・・・・・・約3%
苗の植え付けは斜めに傾けて
本葉が5~6枚になったら、畑に定植します。
マルチを40cm間隔に穴をあけます。それぞれの穴を7cm程度の深さに掘っておきます。
バケツに水を入れ、苗をポットごとつけて十分水を含ませた後、水からあげて余分な水分を切ります。土を崩さないようにポットから苗を抜きます。
掘った穴に斜めに傾けて浅めに植え付けます。傾けて植えるのは、斜めになった茎から新しい根が生えてきて元気な良い株に育つからです。
定植後は、仮支柱をたてて、風よけのため寒冷紗をかけます。
苗を購入して植える方が栽培しやすい
ミニトマトは、1つの株からたくさん実が採れるので、家庭菜園の場合、良い苗を購入して栽培すれば十分です。また種まきからの栽培より育てやすいのでお勧めです。4月中旬から5月中旬くらいまで園芸専門店やホームセンターで購入できます。
苗選びは、葉が濃い緑色でつやと厚みがあり、筋間が短くがっちりしている元気そうなものを目安にします。特に接ぎ木苗は元気に育つのでお勧めです。葉が縮れているものは選ばないようにしましょう。
購入した苗もやはり斜めに傾けて植えます。ただし、接ぎ木苗は斜め植えはしません。接ぎ木苗は台木の根から養分を吸わせるのが理想的で、接ぎ目部分が土に埋まると穂木(台木より上の枝)からも根が出るからです。
脇芽が大きくなってから切るのは良くないのですが、少し大きくなった脇芽を土に突き刺せば、増やすことができます。挿し木のときも斜めに浅く挿し込みます。ただし、あまり遅い時期に挿し木をしても実ができるまで育たないので、4月中くらいまでに苗を買って育て、挿し木は5月中旬には終えるようにします。
挿し木したのち、雨が続けて降りそうだと根付く率が高くなります。晴れの日が続くようなら、バケツの底に1/5くらい水をはって、脇芽の切断部分を水につけておけば、次の週末には根が出ています。これを土に挿し込んでしっかり水をやります。毎日水をやればよいのですが、週末菜園だとなかなか難しいので、週間天気予報をみて工夫しましょう。
ただ、脇芽が大きくなってから切り取ると、切り口が大きくなり病気を誘発する原因になるので、リスク回避のため、購入した苗の中で特定の苗を挿し木用として決めておけば良いでしょう。
支柱を立てます
1週間程度後に根付いてきたころ、寒冷紗と仮支柱をはずし、支柱をたてます。
茎と支柱は、成長した茎を傷つけないよう8の字を描くように結わえます。
ミニトマトが成長するたびに支柱に結わえて、上へ上へと誘導します。
脇芽取りの仕方
ミニトマトは、基本的に1~2本仕立てにします。
脇芽が出てきたら早いうちに手で取り除きます。右の写真くらいの大きさの時に摘み取るのが理想的です。
脇芽が大きくなってから、特にハサミで切除すると、刃物にウイルスがついていると病気を媒介する場合があります。ただ、週末だけの管理だと脇芽はすぐに大きくなってしまいます。これまで少し大きくなった脇芽をハサミで何度も切りましたが、そんなに支障がなかったので、あまり神経質になることはないと思います。
いずれにしても、脇芽を伸ばし放題にしておくと栄養分が分散して良い実ができないので、芽かきはこまめに行いましょう。
水のやりすぎにはご注意
水をやりすぎると甘いミニトマトになりません。水やりは抑えめにしましょう。週末の家庭菜園にはちょうどよい頻度かもしれません。ただし、梅雨明けやお盆の日照りが続く頃は、ある程度こまめに水をやらないと元気がなくなります。
追肥して収穫量を増やします
緑色の実がなり始めたころに1回目の追肥をします。1㎡あたり化成肥料一握り(約50㏄)をマルチの両側にまいて土となじませます。できれば、マルチの端を広げて施肥し、土になじませましょう。
それ以降は2週間ごとに7月中旬くらいまで同量を追肥します。
実が赤くなれば収穫します
実が赤くなれば、手でもぎ採ります。
ミニトマトの実には、ガクの部分にひらがなの「く」の字型に筋くれた部分があり、これを離層といいます。離層部分の「く」を逆に折るようにとると、実にガクをつけたまま簡単に収穫することができます。